笹ヶ平山、歯朶谷山、ベツソ山は、えひめ森林公園・大谷池の水面に山頂を映す山山です。
皿ケ嶺連峰県立自然公園。
笹ヶ平山だけが砥部町、歯朶谷山、ベツソ山は伊予市に属しています。
歯朶谷山は森林公園内にあって遊歩道が整備されています。
伊予断層と中央構造線にはさまれた前山山塊に属しています。
谷上山から東に向かって4つに分岐した尾根の末端にそれぞれのピークがあります。
一般には谷上山系の小ピークのような存在です。
笹ヶ平山は、県道219号砥部伊予松山線沿い、七折にあります。
県道は東から北へ山麓をなぞるようにカーブし、大谷池に出るところで谷上山経由中山方面の旧街道と分岐します。
辻には往事の道標(石碑)があり、谷上山にある宗珠寺・山門前にも同様な石碑が残っています。
山肌は自然林と人工林が混在する混合林に覆われ、大谷池に注ぐ水源の一部を担っています。
森林公園の遊歩道からはずれた場所にあるため、入山者はほとんど無く、ひっそりと佇んでいます。
歯朶谷山は、お山そのものがえひめ森林公園となっています。
えひめ森林公園は、昭和59年(1984)に開設されました。
森林学習展示館、フィールドアスレチック、キャンプ場、実習用苗畑、山菜栽培園、自然観察道、県民参加の森などが整備されています。
森林学習展示館、キャンプ場(要予約)、フィールドアスレチックなど、様々な施設が無料で利用できます。
お山全体が森林組合が管理する自然学習の場になっています。
遊歩道は、らくらくコース、眺望コース、林業学習コース、句碑めぐりコースなどがあります。
体力、時間、目的に合わせた遊歩道を巡ることができます。
→ えひめ森林公園オフィシャルサイト
ベツソ山は、大谷池を挟んで歯朶山と対峙するお山です。
谷上山と接する西稜線は谷上山第二展望台や、春には山を染めるほど咲き誇る桜園があり、一年を通して賑やかです。
車道・遊歩道から離れた山頂付近は防火帯兼作業道があるのみで、訪れる人もなく、ひっそりとしています。
南側はえひめ森林公園に接しています。
北側は山裾を松山自動車道が通り、斜面はみかん畑、なだらかな麓にはいくつものため池が点在しています。
これらの山々に囲まれている大谷池は、大谷川下流域農地灌漑用の人工池です。
昭和6年(1932)伊予郡南伊予村3ケ町村用排水改良事業として起工。
艱難辛苦の14年の歳月をかけた末に完成しました。
いまでもため池が多く点在する伊予・松前一帯は、古くから水不足に苦しめられてきた地です。
旧南伊予村の村長・武智惣五郎が私財を投入して大谷池築造に取り組みました。
7戸の農家の移転に始まった工事も、当時は現代のような重機もなく、ほとんど人力で進められました。
資金不足や、地質の悪さもあって室戸台風などに見舞われて基礎が流出したりしました。
武智村長は自らの写真を土手に埋めて人柱としたりしました。
昭和17年(1942)、愛媛県営事業に移行しました。
3名の殉職者、述べ人数37万3000人を擁した大事業は昭和20年(1945)に完成の日を迎えました。
堤の端にある龍王社に殉職者の慰霊碑があります。
土手の高さは35m、長さ198m、灌漑面積は570haです。
平成16年から数年間行われた堰堤の改修工事で桜並木も伐採されてしまいました。
現在は水かさも元通りになり、明るさを増した水面を滑るように泳ぐ水鳥たちの姿が戻って来ています。
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