スクモ塚、名石山は、高縄半島の北西部、北条菊間丘陵に属するお山です。
高縄周縁山地の外側には、標高400mほどの山山と深く刻まれた谷の大起伏山地が形成されています。
その中に名石山をはじめ、高仙山、無宗天山など、円すい状のシルエットを持つ山山が点在しています。
それらは花崗岩層の破れ目から噴き出し固まった火山性の岩山です。
見晴らしのいい地形を生かし、古代には古墳が埋葬されたり、中世・近世を通じては河野氏系の城砦が築かれました。
スクモ塚は、大抵の地図に山名が載っていないお山です。
“スクモ塚”は三角点の情報を記した「点の記」に記載されています。
地元では山頂に立つ金刀比羅神社の名を取って金刀比羅山とも呼ばれています。
“スクモ”は漢字で書くと“空籾”、もみ殻のことです。
脱穀するともみ殻が砂山のように山になりますが、その姿に似ていることに由来しています。
西条市丹原町にも同名の「すくも山」があります。
山頂の金刀比羅神社までぐるっとらせん状に登る道が付いています。
夏は草木が生い茂りますが、冬は参詣のために刈り取られ、容易に登ることができます。
名石山は、海からもよく見える特徴的な円すい状の姿故に古くから航海の目印にもなりました。
北条周辺は多くの古墳が出土していますが、名石山山頂からも古墳時代の箱式石棺が出土しました。
中世には北条を拠点として伊予を治めていた河野氏が居城した名石山城が山頂に築かれていました。
道標が置かれた登山道を登り詰めると、朽ちかけた祠が出迎える山頂に到達します。
|